自分の胸の中で震える咲の体を強く強く抱きしめる。

咲の決断を玲は知っていた。
どんな決断をするか知っていた。

でも言葉にしなかったのは、咲が言葉にすることに大きな意味があるとわかっているから。

だから、咲が自分の口から言葉にして発することで、さらに強くなって前に進めるようにしてあげたかった。


「頑張れ」
抱きしめている咲に言う。
「頑張れ、咲」
「・・・うん」
二人はいつまでも抱きしめあった。