「今回の事件で・・・やめたいって思った。」
「うん」
「辛くて苦しくて、後悔しても戻らない命に申し訳なくて。」
涙で言葉に詰まる咲。

事件以来、咲は自分の気持ちを玲に話してこなかった。
初めて言葉にする咲を玲は抱き寄せる。

「うん」
ちゃんと聞きたい。
ちゃんと聞いている。
だから、心の中にあるものをすべて吐き出してほしいと思う玲。

「逃げ出したいって思った。」
「うん」
「この傷は私の罪だって・・・私が・・・守れなかったものへの・・・罪なんだって・・・。」
かたかたと体を震わせて泣きながら話を続ける咲。