「ねぇ、玲。」
「なんですか?」
給仕もいなくなった今は、玲と咲しかいない。

「どうしてうちで働こうと思ったの?」
咲が花畑を見たままつぶやく。

「玲は頭も良くて、なんでもできるから。うちじゃなくても世界は広がったでしょう。玲が活躍できる場所も、もっと認められる場所もたくさんあったでしょ?」
「そうでしょうか。宮ノ内グループは国内有数のグループです。かなりいいお給料をいただいていますし、待遇も悪くない。幼いころから知っている場所ですし。」
「・・・でも、結局私の秘書として、玲の才能は埋もれたままだわ。今の私には何も力がなくて、あなたを羽ばたかせてあげたくても、そのチャンスすら作れない。」

咲はかなり落ち込んでいる。
「じゃあ、私がお嬢様から離れてもいいと?お嬢様は迷惑ですか?」
玲の言葉に、咲は慌てて立ち上がる。