「なんて呼べばいいかな。社長?」
「それも辞めて。重役たちに許可を取って、父にも報告をして、来月ある会議で承認が得られれば、玲も共同経営者となる。そしたら玲も社長でしょ。」
「・・・うーん。どうかな。」
「本当に会社は大丈夫なの?」
「俺の?」
玲が海外で立ち上げた会社はいくつかある。
その中には経営コンサルトを専門としている会社もある。

「俺の会社は元から俺が離れられるようにできてる。それに、全く無関係にはならずに、今後も経営には携わっていくつもりだ。」
「忙しくて体、壊さない?」
「ははっ。それは咲だろ?少しは肉、ついたかと思ったのに全然ついてない。目の下のクマもひどい。俺は咲みたいに自分の身を削って仕事をするタイプじゃないからな。」
玲がそっと咲の頬に触れる。

玲の方が要領がいいとわかっている。
経営するのに判断も早い。
だからと言って努力をしていない訳でない。