「返事はいつだっていい。今は久しぶりに会えたことをかみしめたい。」
玲は何かを迷っている咲の肩を自分の方に更に抱き寄せる。

「久しぶりの咲。・・・この時を待ってたんだ。」
玲が目を閉じて咲のぬくもりに浸っていると咲が玲の方を見た。

「玲はそれでいいの・・・?」
「え?」
咲自身が一番玲に隣に居てほしいと思っている。
それは会社の社長としても同じ気持ちだった。
本来自分には社長としての仕事はむいていない。だからこそ努力をしてきた。

それに、秘書として咲のそばに居た玲が、咲以上に社長としての素質があることも、実力があることも知っている。

自分の為だけじゃない。会社のためにも今、玲という存在は必要だ。

「咲が望んでくれれば、俺はいつだって隣で一緒に進む覚悟ができてる。」
その一言に、咲は決意を固めた。