「ありがとう」
当たり前のように差し出された靴に足を通すと、”お嬢様”は立ち上がる。
「朝食の前に着替えを済ませてください。今日は社長も一緒に食事をとるとおっしゃっています。」
「・・・父も?」
「はい」
「はぁ・・・」
今度は”お嬢様”がため息をつく。

「だいたいこういう時は何か悪い話ね。」
「わかりません。でも、時間は厳守ですよ。」
「・・・はーい。」
お嬢様はスーツ姿の長身の男が部屋から出ると、ベッドルームの隣にある扉を開けて、シャワーを浴び始めた。

頭から熱いシャワーを浴びて、鏡の中の自分をみる。

ひどい顔。