「私が今社長としてこの場所にいて、社員は両社を合わせて1000人を超えた。関係している企業も含めれば、両社あわせて何万て人が関わってる。そのすべての人の人生や生活を背負ってるって思うと、簡単には判断できない。」
熱い紅茶を子供のように冷ましながら口に含む咲。

華奢な体は変わらない。

背負っているものは3年前と何も変わっていない。
むしろ、成績が伸びたことによって背負うものは年々大きくなっている。

「難しいわね。」
大きく深呼吸をしながら咲は社長室の窓から外を見た。

ここは空港の近く。
一日に何機も飛行機が離着陸を繰り返している。

真岸は知っている。
咲が待っていることを。