「眠れたんだけど、起きちゃった。」
困ったようにうつむく咲。

玲の家に来てからも咲は思うように回復していなかった。
たくさん話をするようにはなったものの、笑わない。
笑えない。

本人は無自覚だと気づいている玲も玲の母も咲を焦らせないように気を付けてくれている。

水分も、食事も、何とか数口食べるものの、すぐに吐き戻してしまう状態が続いていた。

主治医も来て咲を診察してくれたものの、状態はあまりよくないと言って毎日点滴に来ることになった。
このままだと入院することも視野に入れたほうがいいと、代表にも報告が上がっているはずだ。
明らかに栄養状態がよくない咲。脱水にならないようにと点滴をするくらいしか医師もできないらしく、専門的な心療内科医に診せることも視野に入れている。