玲は真っ先に向かう場所があった。
それは咲が大好きな庭園にある花畑。
お気に入りの東屋だ。

玲は思い切り走る。
嫌な予感がして全身が震えてうまく走れない。
前にもこういう日があった。
でもあの日とは違う不安が玲の心を支配する。

「咲!」
東屋に着くとすぐに玲の視界に飛び込んできたのは、倒れている咲だった。
裸足のまま・・・地面に倒れている咲・・・

「咲っ!」
すぐに駆け寄り咲の体を抱き起すと、地面に何かが落ちる物音がした。

物音の方に視線を向けると、そこに転がっていたのは薬の空き瓶。
「咲!!」
つめたい体の咲の名前を呼ぶ。
その手には携帯電話が握りしめられていた。