5年も付き合った彼女が、そんな風に思っていると知ったら、彼は怒るかな?
 ドキドキしながら窺うように和博の顔を見上げたら、「どした?」と聞かれた。
「何でもない」
 誤魔化すように答えて、ここでもまたこんなって自分のことが嫌になった。

「ね、和博。あなたは私の何が気に入ったの?」
 思わず聞いてしまってから、まずかったかな?と思う。
 それは逆を言えば私が和博の“どこも気に入っていない”と告白しているのと同義だと気づいたから。

「ん? まず第一は顔。それから背の低い所。あとはそうだな。その物事をスパッと決められない感じかな」

 やばいかなって思ったけど、和博は私の言葉の真意には気づかなかったみたいに呆気らかんと答えてへらりと笑った。

 身長差。
 確かに彼は175センチを越えていて、私は150ちょっと。
 身長差20センチ以上は差が大きい方に入るんだろう。
 私はそれもあって、彼との付き合いを迷っているというのに、そこが気に入っているって本当?

「この高低差、好きなの?」
 ふと立ち止まって彼を見上げたら、「その上目遣いが堪んねぇのよ」って抱きしめられた。