「はぁ」

 小さく溜め息をついたら、大学時代からの付き合いの和博に「悩み事?」と聞かれた。

「うん。優柔不断な自分をどうにかしたいなって」
 力なくつぶやくと、「ああ、美代子の決断力のなさは筋金入りだもんな」と笑われた。

「俺はそういうところも含めて可愛いと思ってるけど」

 悪戯っぽく微笑まれて、腰まで届くアッシュのゆるふわウェーブをクシャリと撫でられた。
「この髪だってさ、本当はずっと切ろうか迷って5年だろ? 出会った時は美代子、ショートだったじゃん?」

 彼との出会いは大学に入学して間もなくの頃。
 私の何を気に入ったのか、1つ上の彼に見初められてなぁなぁで5年。
 就職してからもお互いそんなに距離が離れなかったため、そのままズルズルと。

 私は正直この端正な顔立ちの彼のことが好きなのかよく分かっていない。
 5年も一緒にいて?と思われるかも知れないけれど、例によって迷いの多い私は彼とのことでさえまだ自分の中でハッキリ答えが出せていないの。