家に帰って砂時計の包みを解いた私は、リビングのローテーブルに、お店で見た時のように横倒しに置いてから、ぼんやりと久遠(くおん)さんの言葉を思い出す。

「こちらの砂時計、一度片側へ砂を落とし切ってからひっくり返したら、砂が落ち切る前に横倒しにしてオリフィス……あ、真ん中のくびれた所なんですけど……そこを砂が通らないように止めてください。次に使うときも同じです。その繰り返しで使うようにしないと――」

 この砂時計、5分計と銘打ちながら、その実5分間をきっちり測り切ることは出来ないらしい。
 だって落ち切ってしまったら――。
「もう1度砂時計をひっくり返す前と同じ5分を繰り返すことになるかもしれません」

 それって……途中で横倒しにしない限り、ずぅっとその5分間に囚われてしまうということ?
 それはさすがに嫌だなぁ。

 あ。でも――。