***
「あ、まただ。何度目のため息かな」
お兄さんが小さく笑う。
どう返せばいいのかわからなくて、唇をきゅっと結んだ。
今日は旺太くん情報を手に入れに来たんじゃない。カットしてもらうために来たんだ。
おでこのアザを見るたびに、無性に会いたくなった。
見ず知らずの女子高生の願いを叶えてくれた、お兄さんに。ふんわりした笑顔で癒やしてくれた、お姉さんに。
あたしを変えてもらいたくて、ここに来た。
ここのオーナーであるトモキさん。
トモとはただの同僚だよ、と笑ったレイラさん。
今日はシャンプーを担当していたハマダくん。
みんなに笑顔で迎えられたら、泣きそうになった。
「どんな感じにするか、決まった?」
トモキさんが鏡の中のあたしに微笑みかける。
「………えっと、なんていうか」
ハマダくんが用意してくれたヘアカタログはページをめくることもせず、膝の上に乗せたまま。
「清純、っていうか。清楚?……そういうかんじにしたくて」
えへへ、と笑ってみせたけど。
ぎこちない笑顔になってしまったことは、自分でもわかる。
「どうしたの?」
「何かあった?」
その言葉を聞きたいような、聞きたくないような。
すごく複雑な気分だ。
トモキさんが、あたしの髪をすくってはこぼす動作を何度か繰り返す。
おかしな注文をしてしまったことが、なんだか急に恥ずかしくなった。
それを誤魔化すように膝の上のヘアカタログをペラペラとめくる。
何気なく手を止めたページには、自信ありげに微笑むモデルがいて。
何だかとても惨めな気分になった。
「あ、まただ。何度目のため息かな」
お兄さんが小さく笑う。
どう返せばいいのかわからなくて、唇をきゅっと結んだ。
今日は旺太くん情報を手に入れに来たんじゃない。カットしてもらうために来たんだ。
おでこのアザを見るたびに、無性に会いたくなった。
見ず知らずの女子高生の願いを叶えてくれた、お兄さんに。ふんわりした笑顔で癒やしてくれた、お姉さんに。
あたしを変えてもらいたくて、ここに来た。
ここのオーナーであるトモキさん。
トモとはただの同僚だよ、と笑ったレイラさん。
今日はシャンプーを担当していたハマダくん。
みんなに笑顔で迎えられたら、泣きそうになった。
「どんな感じにするか、決まった?」
トモキさんが鏡の中のあたしに微笑みかける。
「………えっと、なんていうか」
ハマダくんが用意してくれたヘアカタログはページをめくることもせず、膝の上に乗せたまま。
「清純、っていうか。清楚?……そういうかんじにしたくて」
えへへ、と笑ってみせたけど。
ぎこちない笑顔になってしまったことは、自分でもわかる。
「どうしたの?」
「何かあった?」
その言葉を聞きたいような、聞きたくないような。
すごく複雑な気分だ。
トモキさんが、あたしの髪をすくってはこぼす動作を何度か繰り返す。
おかしな注文をしてしまったことが、なんだか急に恥ずかしくなった。
それを誤魔化すように膝の上のヘアカタログをペラペラとめくる。
何気なく手を止めたページには、自信ありげに微笑むモデルがいて。
何だかとても惨めな気分になった。



