ラブホリック。



『ワンコインの女』

そこにはきっと、いくつもの悪意が込められている。
そんな悪意の塊が、どうして旺太くんのところにまで届いてしまったのか。
発信元を突きとめてクレームを入れてやりたいけど、そんなの不可能だ。

なにより悔しいのは、旺太くんに、あたしがそういう人間だと思われてしまったこと。

フラれるよりきつい。
ううん。
フラれるほうがつらい。
いや。
どっちもきついし、つらい。


昨日からずっと、泣くのをこらえている。
一緒に帰ろう、と言ってくれた和葉を待つ間も、ずっと。
ここで泣いたら負けだと思った。

旺太くんによくないイメージを植え付けたままなのは、どうしても避けたい。
名誉挽回できる、なにかいい方法を考えなくちゃ。

あぁ。もうすぐテストだっていうのに、どうして次から次へと悩み事が増えるんだろう。

あたしの中のポジティブな思考とネガティブな思考がぶつかり、混ざり合う。
結局のところプラマイゼロ。
そう思ったら、プツン、と思考回路が停止してしまった。


コツ、コツ

……あ。和葉、だ。

机を指でつつかれて、顔を上げる。

「なに、その死んだような目は」
「………ぇ、」

そばに立っていたのは和葉じゃなくて。
まさかの、リュウちゃん。