リュウちゃんの姿が視界から消えた瞬間、目の前の、ありったけの酸素を肺に送り込んだ。

「…ひっ…く……」

一気に入り込んできた酸素のせいで、奥の奥にしまい込んであった涙が押し出される。
たまらずその場にしゃがみ込んだ。

「……うっ、……うぅっ、」

息を止めて涙を引っ込めようとしたけど、全然ダメだ。

「うーっ……」

うめきにも近い自分の声が余計に頭を混乱させる。


彼女ができた?
あたしと付き合うのはありえない?
ふざけないでよ。
じゃあ、なんだったの?
ズルい。
詐欺じゃん。
ばっかみたい。
ムカつく。
マジ最悪なんですけど。

心の中にたまっていた想いをどれだけ吐き出したとしても、『リュウちゃんが幸せならそれでいい』なんて言葉はちっとも出てはこなくて。


フラれちゃえ。
受験、失敗しろ。

そんなのばっかり。