ラブホリック。



安っぽいって、なに?
あたしのしてきた恋愛が安っぽいとでも言いたいの!?

リュウちゃんとどうしても付き合いたくて、あれこれ悩み考えていた日々が。
交際期間たったの二週間だったけど、後輩くんにきゅんとしたあの瞬間が。
過去にしてきたいくつもの恋が。

「安っぽいって?どの口が言う」

両手で和葉の頬を挟み、力を入れる。
くちばしのように突き出た唇がモゴモゴと動いて抵抗している。

恋愛なんか興味ない子に。
一度も付き合ったことのない子に。
そんなふうに思われていたなんて。

「ちゅうするぞ」

両頬を挟んだまま唇を近づけると、必死に抵抗する和葉。
ほっそりとした体からは想像もつかないほどの力で両手が剥がされてしまった。
失礼なことを言った罰だよ、と、再び両手を伸ばしてみるものの、うまくかわされてしまった。

「やー、もう、ごめん。言葉を、言葉の使い方を間違えた。わたしにはムリ。うまく言えない。ギブ!ギブアップ」

すっくと立ち上がった和葉がお弁当箱を抱えた。

「個人差、っていうの?そういうの、あるよね。恋愛でもなんでも。個人の意見を尊重するべき。苦手なジャンルのくせに語ろうとしたわたしがバカだった」

肩をすくめたあと、クルッと体の向きを変えた。