いろんな感情が湧いてきてるのだろうけど、それをうまく言葉にすることができない。
このぐちゃぐちゃになった感情を表現する方法は、たったひとつ。
泣くことくらいだ。

「………ぐすっ」

それも、たったのこれっぽっち。
こんなんじゃ、伝わるわけない。


「そういうことだから。もう話しかけんなよ?」

面倒くさそうな表情で耳の後ろを掻いたリュウちゃんは、頭を左右に傾けて首を鳴らした。

ちょっと待って。
すぐ思い出すから。
あと、一分!
やっぱ、三分。

……って。
なんであたしも三分にこだわるの。


「……ぐすっ」

胸が苦しくて、ありったけの酸素を取り込みたかった。
でも、リュウちゃんの吐き出した息と心無い言葉を一緒に吸い込むのはイヤだった。

胸が苦しい。
酸素が欲しい。

「……もう、いい」

熱くてヒリヒリするのどを無理矢理こじ開けて吐き出す。

「じゃ」

リュウちゃんは左手を顔の横でヒラヒラとさせ、一度もあたしの顔を見ることなく屋上をあとにした。