「今回はこだわるね。切り替えの早い華乃にしては、めずらしく」
次の授業の始まりを気にしてか、あたしを置いてスタスタと歩き出した。
その後を慌てて追いかける。
「終わり方が気に入らないの。スッキリしないの!」
そう。終わり方って大事よね。
好きな人ができた、っていうならまだしも。
彼女ができた、ってなによ。
どっちも同じだろ、って思うかもしれないけど。
あたしの中じゃ、全然ちがう。
「華乃と付き合ってる間に他に乗り換えたのは。……そっか。神崎先輩が初めてだ」
「……え。あ、……うん」
付き合ってるって思ってたのは、あたしだけだったけど。
和葉に、ちょっとした嘘をついてしまったのだけど。
「あたし、リュウちゃんの彼女じゃなかった」
なんて、恥ずかしくて言えないし。
そのまま黙っておくことにした。
「……リュウちゃんは、運命の人だと思ったのになぁ」
あたしが不意にこぼした言葉を、和葉はご丁寧に拾い上げる。
「その言葉、使わないでって言ってるでしょ」
何度も言わせないで、と付け足すと、歩くスピードを上げた。
あたしの話が長引きそうだと予測してのことだと思う。
「でもさ、」
「でも、とか。だって、とかは聞きたくない。華乃がいるのに、他にオンナをつくったんでしょ?そんな相手のことを『運命の人』とか言わないでくれる?使うに値しないから」
「………ぅ、」
ものすごく怒ってる、のね。



