「え。なに?もしかしてオレら、付き合ってたとか?」

彼氏だと思っていた目の前の人、『リュウちゃん』が目を丸くする。

「オレとおまえが?ありえねー」

リュウちゃんは細くゴツゴツした指であたしと自分を交互に指さすと、肩を揺らして笑った。

「なにカンチガイしてんだよ。オレ、おまえと付き合うとか、言ったおぼえねぇし」
「……そんなっ、」

ウソでしょ?
なにそれ。
冗談キツイよ。
じゃあ、今までなんだったの?
あたしたちの関係って、なんだったの?


「……だって、」

だって。
あたしが告白したとき、リュウちゃんは。
リュウちゃんは。
……えっと。
……えぇっと。

頭の中に霧がかかったみたい。
たった一ヶ月前のことが思い出せない。