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「ぐすっ…。リュウちゃんの、……バカ」

屋上から女子トイレに移動したあたしは、個室に閉じこもって鼻をすする。
あの日の出来事が鮮明に思い出されて、涙が止まらない。

あの日、返事はもらえなかった。
リュウちゃんの言うとおり、付き合おうなんて言葉はもらっていなかった。

なのに、あたしが勝手に思い込んで。

だって。
付き合いたい、って証拠をみせたの。
そしたらそれが、あたしたちの『はじまり』だと思うじゃない?


「最低なやつ……」

もし断っていたら、リュウちゃんとはそれっきりだったと思う。
でも、都合のいいオンナにはならずに済んだ。

サイテーだ。
あたしも。
リュウちゃんも。

サイテーだ。


動物的カンってやつは、あてにならない。
あたしのこと大事にしてくれる、ってなに?
そんな根拠のない自信は、一体どこから湧いてきたんだか。

……ばっかみたい。

キラキラしてた日々は、あっという間に色褪せてしまった。

明日から、…ううん。
今からあたしは、なにを楽しみに生きていけばいいの?