初めて言葉を交わした日から、リュウちゃんへの想いはさらに大きく膨らんでいった。
リュウちゃんの中で芽を出した『あたし』は、ちゃんと育っているのかな。
どうか力強く上に伸びて、葉を広げてますように。
期待しながら、祈りながら。
『あたし』が花ひらく瞬間を待つ。
不安はもちろんあるけれど、自信は持ち続けようと思った。
目が合えば、微笑んでくれるし。
「華乃ちゃん」と声を掛けてくれることもあったから。
大丈夫。きっと大丈夫。
確信があったのかと訊かれたら、どうかなぁ、って答えるけど。
ちゃんと咲いてる。
そう思ったら、もう止められなかった。
「好き、です。あ、…あたしと付き合ってくださいっ」
夏休み中の、地元の図書館で。
受験勉強中のリュウちゃんをつかまえて、想いを伝えた。
ずっと伝えたかった言葉。
「オレと、付き合いたいって?」
人目を避けるようにして連れてこられた図書館裏にある通路で、コクリと頷いた。
「ふぅん。そうなんだ」
「……そう、…なんです」
顎に手をあてて、リュウちゃんは考え込んでしまった。



