あたしの地道な努力が実を結んだのは、先輩に恋をしてからニヶ月後。
いつしか心の中で『リュウちゃん』なんて呼びかけていたころのこと。
「うーん…。イマイチ」
「これも、パス」
「んじゃ、こっちは?」
「あー、とりあえずキープで」
リュウちゃんを追って図書室までやって来たのはいいけれど。
友だちと何かの資料集めをしているらしいリュウちゃんは、一向に帰る気配がない。
本でも読んで時間を潰そうと、手当たり次第に抜き取った大量の本。
大量すぎて読む気も失せちゃったし。
あぁ、もう。早く終わらないかなぁ。
勢いよく机に突っ伏すと、右ひじに鈍い痛みが走る。
それと同時にものすごい音を立てて積み上げていた本が床に落ちてしまった。
「いっ…、たぁい」
やだやだやだやだ。
ありえないんだけど。
ひじ、めちゃくちゃ痛いし。
っていうか。
見られて、……ないよね?
恥ずかしくてリュウちゃんのほうは見ることができなかった。
落ちた本を、四つん這いになって集めるあたしの頬は必要以上に熱い。



