家に帰ると、真っ先にアルバムを引っ張り出した。
何年ぶりかに開いた一年一組の思い出。
入学式後に撮った集合写真の中から、旺太くんの姿を探した。
この子が、カイくん。その隣が、マサキくんで。
ヒロトくん、みーくん、それから、マツ…マツなんとかくん。
で。ユウダイくんに。
この子が、……。
薄いブルーのシャツを着て、チェックのネクタイをしめる男の子。
濃い色のジャケットを羽織り、緊張した面持ちでこちらを見つめている。
少しだけ、顔がふっくらとしていて。
けど、そうだ。
「この子が、旺太くん…」
写真の中では確認できたけど。
記憶の中に、旺太くんを見つけることができない。
他にも写っていないかと、何度か繰り返しページをめくって確認をしてみたけれど。
集合写真のほかには、写真の隅に偶然写り込んだものが数枚。
肩を並べて一緒に写った写真は一枚もない。
あたしの手元にある一年一組の思い出の中に、旺太くんの姿はほとんど残っていなかった。
たった二ヶ月間だったとはいえ、これっぽっちの思い出しか残っていないなんて。
その日の夜遅く、旺太くんからメッセージが届いた。
《ありがとう》
きっと、タオルとTシャツのお礼だと思う。
たったその五文字を眺めているだけで、胸の奥がくすぐったくなる。
なんて返そうか、悩んで。
何度も文字を入力しては、消して。
結局、うさぎがペコリとお辞儀する、そんなスタンプを送った。



