「終わったって」
旺太くんがスマホに視線を落とした。
拓海くんがこっちに向かっているらしい。
「それじゃあ、」
あたしはこれで、と腰を浮かせたとき。
「連絡先、教えて」
……って。
旺太くんが、スマホの画面をこちらに向けている。
え。
えぇっ。
そんなこと言われるなんて、思ってもみなかったから。
なんか。
なんていうか。
「……でも、」
チラッと、彼女の顔が浮かんだ。
浮かんで、チクチクと胸が痛んだ。
ドキドキと、チクチク。
「大丈夫かな…?」
「なにが?」
「だって、あたしなんかの、」
「だって俺、目撃者」
「………、」
「なにかあったとき、連絡とれたほうがいいと思って」
彼女のことは気にかかる。
それでも。
連絡先を交換してしまった。
「あ。拓海くん、来たよ」
入口に、キョロキョロと店内を見回す拓海くんの姿があった。
旺太くんは右手を軽く挙げ、自分の存在を示す。
拓海くんはあたしたちに気づくと、随分とスッキリしたヘアスタイルを強調するかのような、爽やかな笑顔を見せる。
そうだ、と。
旺太くんの、茶色い瞳があたしに向けられた。
「拓海に、サラッと言われちゃったけど。今がそのタイミングなのかも」
「……え?」
「N北小一年一組、宮村旺太。今は、泉水だけど。二階堂さんとは、ニヶ月間だけクラスメイトだった」



