神崎琉星(かんざきりゅうせい)

学年はあたしのひとつ上。
伊達先輩とはお友だち。

誕生日とか血液型とか。
個人情報は、ご迷惑をおかけしない程度に手に入れたい。
ほら。相性占いとかしてみたいし。

それから。
『あたし』というちっぽけな花も知ってもらわなくちゃ。
でも、わざとらしく近づいて声を掛けたりはしなくて。
あくまでもさりげなく。慌てない。焦らない。

ゆっくりと、確実に。


昼休み。
中庭に先輩の姿を見つけたら、お弁当を持って急いで向かう。
先輩の視界に入る場所に腰を下ろし、お弁当を食べる。
熱い視線を送ったりしない。

登下校の時間は先輩に合わせて、先輩の前を歩くようにする。
あいさつはしない。

ちっぽけな花はちっぽけな花らしく、強烈な印象を与えるべからず。
少しずつ先輩の心に根をはるの。