もともと俺は学校が好きだった。
行けばいつでも友達がいて、馬鹿みたいな話して、それでも怒られることはなかったし、その時間は楽しかった。
 何かの縁で日本史の教師になったわけだけど、好きな学校でも唯一嫌いなところがある。
 それは職員室だ。
職員室はいつもコーヒーのにおいがしてなんか嫌だし、エアコンガンガンつけてるから空気もずっと同じ場所にとどまってて息苦しい。生徒には熱中症になるくらい暑くても、風邪をひくくらい寒くても電気代の削減とか言ってエアコンをつけない。人は皆平等とか教えている教師がこんなんだったら生徒からの信用も失うし、教育にも悪い。
 だから俺はよく歴史資料室にいる。
歴史資料室は歴史の資料を置いてあるわけではなく、ただの物置だ。誰も使っていないみたいだからありがたく使わせてもらってる。
 物置といっても昔は教室として使っていたみたいで教卓などはきれいに残っている。
 ノートの点検をしたり授業計画立てたり職員室でしなくていいことはこの部屋でしている。
 今日も授業があったクラスのノート点検をしている。
 なんかノートをみていたらその人の性格が出ているように感じた。例えばにぎやかな女子のノートはカラフル、がさつな男子はあまりきれいではない字で黒一色とか。そういうのを見るのが好きで集めたノートは全部見ている。