時刻はまだ、朝の9時過ぎ。 あたたかなお日様が、あたしとツキトを包んでいる。 あたしの目の前には、ツキトの背中。 甘い香りがする。 ツキトが一晩、あたしと居てくれたからか、 甘い香りは、あたしからも香っている。 ツキトが歩く先には、黒い四駆の車が停まっていた。 助手席まであたしの腕を引いて、ドアを開けてくれて、 「ちょっと高いから、気をつけて。」 運転席にまわったツキトが、手を伸ばしてあたしを引っ張り上げてくれた。 .