気負いもせず、ぱくぱくとあたしの横でおにぎりを頬張る笑顔。 あたしの手首を掴んだ、温い手のひら。 優しい声。 あたしはなんにも知らない。ツキトを知らない。 知っているのは、フルネームと甘い香り。 ツキトだって、同じようにあたしを知らないだろう。 あたしのどこに、引っかかったのだろう…。 確かに体重は落ちていたけれど、そんなに痩せたつもりはない。 絶食していた訳ではないし。 .