「本当は今日さ、残業が終わりそうもなくて、仕事場からアヤちゃんに電話してたんだよ。」 あたしを抱き締めたまま、背中を丁寧にさすってくれた。 「アヤちゃんの声を聞くだけで、我慢しようと思ってたんだけど、…無理だったー。」 アヤちゃんは、俺の栄養剤だわ。 軽く笑ったツキトは、さらに強くあたしを抱きしめた。 「仕事、大丈夫なの?」 「んー?大丈夫じゃないけど、どっちみち今日は仕事にならなかったよ。アヤちゃんの声聞いちゃったから、ね?」 .