「だから、ちゃんと覚えておいて?」 ね?ぽんぽんとまた、あたしの頭をたたく。 「よしっ!じゃあ、ちょっと待ってて。」 近くの空いているベンチにあたしを座らせたツキトは、そう言いおいて歩いていってしまった。 ツキトがあたしに触れた腕や手首や目の下。そうして頭。 熱が残ってくすぐったい。 偶然を装って、そっと触れたあの人は、その部分だけひりひり熱を持ったように疼いた。 ツキトはいつも、柔らかくぬくい温度であたしに触れる。 .