「お姉ちゃん? 大丈夫?」

 ぼうっとしていた私をきららが覗き込む。

「う、うん。大丈夫。じゃあ早速誠さんに連絡してみようかな」

 とはいえ、まだ朝の5時前だ。流石に電話をするのは申し訳ない。
 誠さんの宿泊しているホテルは、家政婦の藤さんが教えてくれた。アブダビでは有名なホテルだそうなので、タクシーで伝えれば問題ないらしい。
 取り敢えず、メッセージをいれよう。
 
『誠さん。直接お話したくて、いてもたってもいられずドバイにきました。
これからきららとアブダビへ向かいます。誠さんと同じホテルを藤さんが手配してくださいました。時間があるときに連絡をください。』

 ……打った文章からあふれ出る自分勝手さに、送信ボタンの上に置いた思わず指が止まる。
 全部、事実なんだけど……! いや、今更ためらうなんてそれこそ自分勝手!
 うんうん!と自分を納得させて、両手で送信ボタンを押した。ぽんっと送信音がして、送信時間が表示される。メッセージは一瞬で誠さんに届いたようだ。
 すぐに既読がつかないことに、一先ず安心する。よかった、着信音で起こしちゃったら大変だと思ったけれど、大丈夫だったみたい。

 送信が一段落して、きららのほうをみると誰かと電話しているみたいだった。

「は~い! じゃあお姉ちゃんと待ってますね」

 待ってる? 誰を?

 不思議に思って、電話を切ったきららに尋ねる。