それどころか、私は彼の好きな食べ物、好きな色……それさえもしらない。
それなのに、渡されたこの紙に名前を書けば夫婦になれてしまう。
「……私たちは、それでいいんでしょうか」
彼に甘やかされて見ないふりをしてきた。初心に返って『父の命の恩人への恩返し』としてお飾りの妻になる。今ではその後ろに昨日見てしまった『彼女の代わりに』までついてくる。
そうすればきららも、健二くんもみんなが幸せになれて、私も彼の隣にいることができる。夢をみることができる。……それで満足できるほど欲がなかったら、きっとそうしていた。
私は欲張りだから、誠さんと本当の夫婦になりたい。でも、本当の夫婦ってなんだろう。
昨夜、ベッドで出来なかったことを自然とできること? お互いのことをなんでも知っていること? 隣にいることが当たり前になること?
いくらひとりで頭を悩ませても答えが出るわけじゃなさそうだ。
正直、寝室は誠さんの香りで溢れていて冷静に物事を考えられる気がしない。
私は婚姻届を寝室の隅にあった棚の引き出しにしまった。
気持ちを切り替えて、一先ず寝室をでて、できることを探してみよう、とドアに手をかける。
ドアをあけるとそこには小さな女性が立っていた。
「奥様、おはようございます」
「きゃっ!?」
私は思わず悲鳴を上げてしまった。まさか人がいるとは思わなかった。
それなのに、渡されたこの紙に名前を書けば夫婦になれてしまう。
「……私たちは、それでいいんでしょうか」
彼に甘やかされて見ないふりをしてきた。初心に返って『父の命の恩人への恩返し』としてお飾りの妻になる。今ではその後ろに昨日見てしまった『彼女の代わりに』までついてくる。
そうすればきららも、健二くんもみんなが幸せになれて、私も彼の隣にいることができる。夢をみることができる。……それで満足できるほど欲がなかったら、きっとそうしていた。
私は欲張りだから、誠さんと本当の夫婦になりたい。でも、本当の夫婦ってなんだろう。
昨夜、ベッドで出来なかったことを自然とできること? お互いのことをなんでも知っていること? 隣にいることが当たり前になること?
いくらひとりで頭を悩ませても答えが出るわけじゃなさそうだ。
正直、寝室は誠さんの香りで溢れていて冷静に物事を考えられる気がしない。
私は婚姻届を寝室の隅にあった棚の引き出しにしまった。
気持ちを切り替えて、一先ず寝室をでて、できることを探してみよう、とドアに手をかける。
ドアをあけるとそこには小さな女性が立っていた。
「奥様、おはようございます」
「きゃっ!?」
私は思わず悲鳴を上げてしまった。まさか人がいるとは思わなかった。


