【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

「因みにここの場所は……あとでお買い物に行こうと思いまして。近くにスーパーはありますか?」
「ここは渋谷区の松濤だよ。スーパー……あるにはあるけど、通いの家政婦がいるから。必要なものがあったらメモして渡すといいよ」

「松濤……! 家政婦さん……!」

 渋谷区松濤といえば富裕層が住む高級住宅街だ。
 そういえば今着ているネグリジェも家政婦さんが着替えさせてくれたと昨日言っていた。改めて雲の上だったんだと自覚する。雲の上の人に手を引かれてここにいることができるのに、彼のいないこの家でひとり、どうすればいいのだろう。

「あの……誠さんの妻としての仕事があるってお聞きしてましたけど、私は誠さんが留守の間はなにをすれば……」

 せめて家事をと思ったけれど、それは家政婦さんの仕事らしい。

「そうだな……一先ず俺が戻ってくるまでは好きなことをしていて。妹さんや友達とでかけたり、ゆきのの荷物に沢山本があったからそれを読んだり」

 彼の答えと、突然の贅沢な暮らしに、期待よりも不安が募る。
 たしかに、誠さんが留守になる今、誠さんの妻として直接お仕事に関わることはできないかもしれない。けれど、お出かけも、読書も誠さんの妻でなくてもできることだ。

 私がここにいる意味ってあるのでしょうか。

そんな言葉が口からでそうになったとき、誠さんが一枚の紙を差し出す。受け取って、一目で分かった。婚姻届だ。