【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

 ようやく一緒にいられると思ったのに、まさか同居翌日から出張だなんて。

「そっ、そうですか……場所はどこなんですか? 日帰りですか?」

 思わず縋り付いてしまいそうになるのを抑えて、冷静を装ってでた言葉がそれだった。
 声が沈んでしまって、冷静さのかけらもない。

「海外だから日帰りじゃないんだ。場所はアブダビ。……弟が中心で動かしている企画が順調に進んでね。僕も急遽顔を出しに行く必要がでたんだ」

「アブダビ!? パーティーの翌日でお疲れなんじゃないですか? 誠さんこそ体調は……」

 アブダビはアラブ首長国連邦の首都。観光地として有名なドバイから、確か一時間半くらいの距離にあったはずだ。
 乗り継ぎをするにしても、ドバイの空港で降りるとしても、半日は飛行機の中にいることになるだろう。パーティーの最中居眠りしてしまった私と違って、誠さんは色々フォローしてくれたに違いない。
 心配する私を横目に、誠さんは肩を振るわせる。

「ははっ……そんなに心配してくれるとは……ありがとう。こうして朝からゆきのの顔を見れたんだ、疲れてなんかないよ」

 吹き出した彼の表情に、思わずどきりとした。いつもの機械的な笑みではなく、素の表情に感じられたから。

 ――たまに見せてくれるこの表情が、うれしい。

 今更、朝からかけられる甘い言葉に恥ずかしくなって話題を変えようとする。