【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

 これ以上なにも言わないでくれと言わんばかりに告げられた言葉に、謝罪を飲み込む。
 今謝ったところで、それは私が私を慰めるためでしかない。
 私は黙って、彼の背中に手をまわし、目を瞑った。


「……んっ」

眩しさに目を覚ます。昨夜は目を瞑ったものの、暫く眠れなくて、カーテンの奥の空が明るくなってきた頃落ちるように眠った。そんなカーテンは開いていて、きらきらと朝日が降り注いでフローリングを泳いでいる。

 昨日は暗くて分からなかったけれど、この部屋はグレーを基調としたモダンな雰囲気で、機械的なまでに洗練されている。家、というより高級ホテルみたい。

「……誠、さん?」

 昨日確かに彼と二人、抱き合って眠ったはずなのに今ベットには私ひとりで、シーツはひんやりと体温を感じない。不安になってベッドからおりると、同時にドアが開いた。

「ああ、起きてたんだね。おはよう」

 部屋に入ってきたのは昨日一緒に眠ったはずの誠さんだった。それもスーツ姿の。

「えっと……あの、誠さんどこかへ行かれるんですか?」

 今日は日曜日で、誠さんもお休みだと聞いていた。不思議に思い、彼を見上げる。

「ああ。本当に申し訳ないが、今から出張なんだ。なるべく早く戻ってくるから、ゆきのはここにいてくれ」

 忙しなくネクタイを結びながらそう告げた彼に私は驚きが隠せなかった。