【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

 彼の役に立ちたい、なんて大層なことをいってかえって迷惑をかけてしまった。あの状況だけをみたら、誠さんの婚約者であながら軽率な行動をとって騒いでいるようにしか見えない。事実、健二くんは落ち込んでいた私を心配してくれていて、肩を掴まれたのだってなにか励まそうとしてくれていたのかもしれない。

 単なる私の自意識過剰で、兄のような友人を悪者にしているのだとしたら最低だ。
 彼は目頭を押さえて、小さく息を吐くと「わかった」と言った。
 そんな彼をみて、健二くんも睨み合うのをやめて私に向き直る。

「ゆきの。さっきは怖い思いさせてごめん。……ゆきのにはちゃんと謝りたい」

 なにか別の意図を含んだような言葉だ。私の目を真っ直ぐ見て、彼は頭を下げる。
「私こそっ、頭を上げて」と私が狼狽えると、また彼と健二くんが軽く睨み合う。

 また喧嘩……!?と思ったけれど、今度はお互いなにも言わない。
 誠さんが「行こう」と私の肩を抱いて踵を返す。誠さんと健二くんの間にしか分からない雰囲気が漂っていて、私はただ連れられるまま歩いた。


 彼の車に揺られている内に、少し冷静になった。以前の食事の後に比べると彼が殆ど話さないのもあるもかもしれない。改めてさきほどの出来事を思い返すと、自分の甘い考えで誠さんにも、健二くんにも迷惑をかけてしまったのだと思い知る。

「誠さん。さっきは本当にご迷惑をおかけしました」