もう大丈夫、と彼の腕の中で頭を撫でられる。そこで初めて自分の指が震えていたことに気付いた。怖かった、けど、この状況はまるで健二くんを悪者にしているようでいたたまれない。私を宥める誠さんに向けて健二くんが挑発するように鼻で笑う。
「偶々早く終わったんじゃねえだろ。コイツに会いたくて仕事死に物狂いで片付けてきたんだろ? コイツに寂しい思いさせてんのが分かってるから少しでも早く会おうって……ハッキリそう言えよ」
「……そんなことを言ってどうする?」
「言葉足らずは身を滅ぼす。お前は昔っからそうだろ……昔の話、コイツにしたのかよ」
「……お前は喋りすぎだ。人の婚約者を口説くような真似はやめてもらいたい」
誠さんは余裕そうな笑みを浮かべて、穏やかな声でそういっているけれど、見上げた私は想わず息を飲んだ。健二くんと睨み合う目が全く笑っていない。黒水晶のように美しい彼の目はまるで獲物を狩る黒豹のように冷たく警戒心を孕んでいる。
「あ、あの、ごめんなさい。私がなにも考えずに行動して……っ、健二くんは私のことを心配してくれただけでなにかされそうだったとかそういうのじゃないんです」
「偶々早く終わったんじゃねえだろ。コイツに会いたくて仕事死に物狂いで片付けてきたんだろ? コイツに寂しい思いさせてんのが分かってるから少しでも早く会おうって……ハッキリそう言えよ」
「……そんなことを言ってどうする?」
「言葉足らずは身を滅ぼす。お前は昔っからそうだろ……昔の話、コイツにしたのかよ」
「……お前は喋りすぎだ。人の婚約者を口説くような真似はやめてもらいたい」
誠さんは余裕そうな笑みを浮かべて、穏やかな声でそういっているけれど、見上げた私は想わず息を飲んだ。健二くんと睨み合う目が全く笑っていない。黒水晶のように美しい彼の目はまるで獲物を狩る黒豹のように冷たく警戒心を孕んでいる。
「あ、あの、ごめんなさい。私がなにも考えずに行動して……っ、健二くんは私のことを心配してくれただけでなにかされそうだったとかそういうのじゃないんです」


