【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

「だろー? って、他のは宇野堂の味をそのまんま受け継ぐって意味ではどら焼きとか練り切りのほうがいいんだろうけどな」

 健二くんが申し訳なさそうに目を伏せる。私は首を横に振った。

「ううん。このチョコレート、表面の新しい食感にわくわくして、宇野堂の餡子がふわっと広がってなんだか安心するの。これが九条リゾートホテルで提供されたらすごく素敵」

 餡子の優しい甘さは口の中に残り続けない。だからこそまた次も食べたくなる。
 ――誠さんにも食べてほしい。このチョコレートを食べて思わず頬が綻んだ彼を……見てみたい。
 思わず頬が綻ぶ私に、健二くんは目を瞠って、誘われるように口を開いた。

「あのさ、お前、今幸せか?」

 突然の質問に「え?」と返すと視線だけでもう一度問われる。
 健二くんの視線の先には私の左手のエンゲージリング。幸せの象徴。

「……うん。会えないのは少し寂しいけれど、忙しい方だって分かってるから」

 自分の口から出た声が暗くて、まるで慰めてくれと言わんばかりでハッとなる。私は慌てて続けた。

「でもね、今日この後彼と会う約束をしてるの。昨日電話があってね――」

「でもって言い訳すんのが幸せなのかよ。会えないのが寂しいって誠に言ったのか?」

「……それは……言えないよ。そんな我が儘言ったところで……」