【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

 ちなみに私も誠さんの提案通り、彼と一緒に住めるようになるまではここでお世話になっている。

 時計をみるともう11時を過ぎていた。スマホの通知画面に『明日、公園で待ってる』とメッセージが入っていた。明日の誠さんとの予定は午後からだけど、朝一で健二くんの新作を試食させてもらうことになっている。本当はきららに頼んでいたみたいだけれど、きららは急用がはいってしまったらしく、代わりに私が受けることになった。

 元宇野堂の和菓子職人で友人である健二くんとはいえ、きららのこの部屋にいれるわけにもいかないので、マンションから少し歩いたところにある公園で会うことになっている。誠さんにも一応『明日の午前中は友達と会う予定です』と伝えてある。
 健二くんと誠さんは知り合いみたいだし、私にとっても健二くんは兄弟同然だ。やましい気持ちはないのに、二人きりで会うことにほんの少し後ろめたさを感じるのは誠さんが心配性なのが前回で分かったから。

 けれど、今回の試食は健二くんの引き抜き先である九条リゾートホテルで提供する可能性のあるものだ。私はお店に出せるような和菓子はつくれないし、誠さんの敏腕秘書……というわけでもない。だから少しでも誠さんのお仕事に関わりたいし、役に立ちたい。
 他のものに比べれば和菓子についての舌は少し肥えているはずだから。

「……大丈夫だよね。お家にあがってもらうわけじゃないし」