【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

 勢いよく立ち上がってヒールを引いたそのとき、右足に鋭い痛みを感じてそのまま崩れてしまった。
「ゆきの!?」

  ガタッと椅子を引く音がして、すぐに彼が私を支えるようにしゃがみ込む。

「あっ、大袈裟でごめんなさい。大丈夫ですただの靴擦れで――」

 脱げたパンプスから晒された踵に血が滲んでいる。今日のドレスに合わせて履き慣れないパンプスを買ったからだ。彼はへらへらと笑った私の言葉を切る。

「大袈裟じゃない。……擦りむけてるじゃないか」
 彼に椅子に座らせられて、汚れた踵を診察するように躊躇なく脚に触れられる。鈍い痛みに顔を上げると、私より彼の方が深刻そうな顔をしていることに気付いた。

「左脚は大丈夫そうだね。……応急処置だけど」

 そういうと彼はポケットから絆創膏を取り出し私の傷口に貼った。

「ありがとうございます……すみません」

「謝らなくていい……が、今からすることを嫌がらないと約束してくれ」

「えっ……きゃっ!」

 彼は私のパンプスをまとめて指に引っかけると、私を軽々と抱き上げた。あまりのことに反射的に離れようとするも「約束って言っただろ」と一方的に言われて解けない。それに今おろしてもらっても素足で立つことになる。
 個室を出てウェイターとすれ違った頃、私は彼に促されるまま彼の胸に顔を埋めてしがみついた。

「……車なんて乗らずに歩いて帰りたい気分だよ」