【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

「あっ、はい。もちろんです」

 彼に言われて思い出す。そうだ。この政略結婚の条件には妹のきららの面倒もみることとなっていた。実家には父方の遠い親戚が引っ越してくるらしく、もうあそこには住んでいられない。住居の手配から引っ越し、それから生活に関わる金銭的な関係も全て面倒をみてくれるという彼に、感謝してもしきれない。私ひとりでは、きららを支えていくのは簡単なことではなかったから。

「なにからなにまで本当にありがとうございます。九条さんには感謝してもしきれません」

「妻になる女性の大切な家族だ。俺にできるかぎりのことはさせてもらいたい。……ただ、そう改まれると困るな」

 眉を下げた彼が、なにか思いついたように微笑んで、テーブルの上で重ねたままだった私の手を握った。

「そうだ。家を整理したいし、俺も少々仕事が忙しくなる。だから落ち着くまでは妹さんと一緒に暮らしていてくれないか?」

「それは私も嬉しいですが……」

「嬉しい、か。そう言われてしまうと俺は少し寂しいな。俺は今すぐにでもゆきのと暮らしたいのに」

「あっ、すみません!……その、心の準備をする時間ができて嬉しいなと思いまして。もちろん妹と暮らせる期間が延長されたのも、嬉しいんですけど」

 揶揄うような口調の彼が、くっと喉を鳴らして笑う。まるでイタズラする子供みたいな幼い表情。