「そうか。わかった。なら今俺が住んでいる実家の方に引っ越しておいで。空いている部屋を弟が物置として使っていたりするから片付けさせるよ」
「えっ、あっ、そんなお手間をとらせるわけには……! それにご実家ということは他のご家族も……」
そこまで口に出して、あっと口を噤む。父の遺してくれた誠さんの家族に関する資料によれば、お父様もお仕事が忙しく国内外問わず各地を転々とされていて、幼い頃から殆ど一緒に過ごしていないらしい。弟さんとの仲については資料に記述がなかったから分からない。迂闊に踏み込んでいい問題だったのかと不安になる。
「そんな顔しないでくれ。父も弟も戸建てよりマンションが好みのようでね。それぞれマンションに住んでいるんだ。仲が悪いわけでもないし、この歳だ。寂しいわけでもないよ」
まるで私の思考を読んだような回答を口にして、テーブルの上に置いていた手に彼の手が重ねられる。寂しいわけじゃない。私より4歳年上の彼からしてみたら家族と同居していないのも珍しいことではないだろう。でも、私はきららと一緒に暮らせなくなることを考えると、それだけでやっぱり寂しい。そんな気持ちから、彼の手にもう片方の手を重ねてしまった。
彼は優しく目を細める。
「ゆきのは本当に妹さんが大切なんだね……家と言えば彼女の住居も手配したいから希望を聞いて欲しいんだけど、頼んでもいいかな」
「えっ、あっ、そんなお手間をとらせるわけには……! それにご実家ということは他のご家族も……」
そこまで口に出して、あっと口を噤む。父の遺してくれた誠さんの家族に関する資料によれば、お父様もお仕事が忙しく国内外問わず各地を転々とされていて、幼い頃から殆ど一緒に過ごしていないらしい。弟さんとの仲については資料に記述がなかったから分からない。迂闊に踏み込んでいい問題だったのかと不安になる。
「そんな顔しないでくれ。父も弟も戸建てよりマンションが好みのようでね。それぞれマンションに住んでいるんだ。仲が悪いわけでもないし、この歳だ。寂しいわけでもないよ」
まるで私の思考を読んだような回答を口にして、テーブルの上に置いていた手に彼の手が重ねられる。寂しいわけじゃない。私より4歳年上の彼からしてみたら家族と同居していないのも珍しいことではないだろう。でも、私はきららと一緒に暮らせなくなることを考えると、それだけでやっぱり寂しい。そんな気持ちから、彼の手にもう片方の手を重ねてしまった。
彼は優しく目を細める。
「ゆきのは本当に妹さんが大切なんだね……家と言えば彼女の住居も手配したいから希望を聞いて欲しいんだけど、頼んでもいいかな」


