その場で父の代わりに再度頭を下げる。彼の綺麗な指がすぐに伸びてきて私の顎を掬い上げた。
「そう何度も頭を下げないでくれ。もうゆきのは俺の婚約者……俺は対等でありたいと思っているんだ」
対等。その言葉に一瞬疑問が過る。父の命の恩人の誠さんへのプレゼントである私が、彼と対等であるとは思えない。彼は一体、私にどんな妻であることを望んでいるのだろう。
「九条誠さんにとって私はどんな妻であるべきなんでしょうか」
彼は私の質問に一瞬目を見張って、優しく細める。
「宇野堂のご主人から資料をもらっただろう? その通りだよ」
お父さんが遺した、九条誠さんに関する資料――……思い返してみてもどんな妻であるべきなのか、とういう記載はなかった。つまり、なにも聞くなということだろうか。
政略結婚なのだから、私は詮索せず、受け入れろ、と。胸に沸いていた温かい気持ちが冷や水をかけたようにさあっと冷たくなっていく。
「……だから、受け取ってほしい」
彼がそういって、テーブルにリングケースをおいて、開く。
現れたのは、見たこともないくらい大きなダイヤのついた、エンゲージリング。
夜景が反射してキラキラと輝いている。
まるでドラマみたいで、子供の頃、一度は憧れたことのあるシチュエーション。これが政略結婚のプロポーズじゃなかったら、相手が愛し合っている人だったら、嬉し涙がでたかもしれない。
「そう何度も頭を下げないでくれ。もうゆきのは俺の婚約者……俺は対等でありたいと思っているんだ」
対等。その言葉に一瞬疑問が過る。父の命の恩人の誠さんへのプレゼントである私が、彼と対等であるとは思えない。彼は一体、私にどんな妻であることを望んでいるのだろう。
「九条誠さんにとって私はどんな妻であるべきなんでしょうか」
彼は私の質問に一瞬目を見張って、優しく細める。
「宇野堂のご主人から資料をもらっただろう? その通りだよ」
お父さんが遺した、九条誠さんに関する資料――……思い返してみてもどんな妻であるべきなのか、とういう記載はなかった。つまり、なにも聞くなということだろうか。
政略結婚なのだから、私は詮索せず、受け入れろ、と。胸に沸いていた温かい気持ちが冷や水をかけたようにさあっと冷たくなっていく。
「……だから、受け取ってほしい」
彼がそういって、テーブルにリングケースをおいて、開く。
現れたのは、見たこともないくらい大きなダイヤのついた、エンゲージリング。
夜景が反射してキラキラと輝いている。
まるでドラマみたいで、子供の頃、一度は憧れたことのあるシチュエーション。これが政略結婚のプロポーズじゃなかったら、相手が愛し合っている人だったら、嬉し涙がでたかもしれない。


