【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

「あのっ、父のエンディングノートに九条誠さんは父の命の恩人だと書かれていました。父とは一体どういったご関係だったのですか?」

 さすがに「なぜ私と結婚するのですか、九条さんになんのメリットがあるのでしょうか」
 と聞くことはできなかった。父のエンディングノートに書かれていたそれは詳細がなくその一言だけではなにもわからず気になっていた。

「ああ、宇野堂のご主人と出会ったのは歩道橋。ご主人が俺の前を歩いていたんだけど、階段を上っているときに持病の発作が起こってしまってね、近くの病院までお連れしたことがあったんだよ。……命の恩人は大袈裟な気がするけどね」

「大袈裟なんかじゃないですっ」

 私は彼の話してくれた父との出会いに思わず食い込んでしまう。父は持病の発作で病院に運ばれることが度々あった。救急車を呼んでいない場合は家族である私たちに連絡がくることなくこっそりと何事もなかったかのように帰ってくることも少なくなかった。

 恐らく九条さんと出会ったときがそうだったのだろう。
 彼の話によれば父が宇野堂の主人だと分かったのは、父が来ていた宇野堂の店名入りの白衣からだったそうだ。父の方から彼にお礼をさせてもらいたいとお願いし、彼が名刺を渡したところから付き合いがあったという。

「遅くなってしまいましたがその節は本当にありがとうございました。」