【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ

 現社長のお父様は会長のような存在で、海外のまだ数が少ないホテルを優さんが、重点を置いている国内のホテルを彼がまとめているということ。
 お母様のことを話してくれた彼に、私も自分の家族について話した。
 ほんの少し共通点を感じて、別世界の住人だと思っていた彼が少し近く感じる。

 目の前の彼は、昨日、ネットや写真で見た姿とは全然違う印象にみえた。こんなに優しく笑う人だったなんて。一見クールに見えるけれど、瞳の奥には熱いものを感じる。
 こんなに気を遣っていただいているのに、申し訳なさの奥に温かい気持ちを感じる。
 政略結婚の相手じゃなかったら、この人に惹かれていたかもしれない。
 政略結婚でもなかったら、出会うこともなかったのかもしれないけれど。

 食事が終わって、少し雰囲気が柔らかくなったところで、彼が「さて」と改まる。
 私も釣られて姿勢を正した。

「政略結婚、そう言われて戸惑っているだろう」

 私は素直に「はい」と頷く。

「宇野堂のため、そう気負う必要はない……俺が本当に欲しいのはゆきのだけだ。ずっと、ずっとそうだった」

 話の内容が掴めなくて、戸惑ってしまう。まるで政略結婚ではなくて本当に愛があるかのような言い方だ。そんなはずないのは分かっているのに。それなら理由が知りたい。