誠さんの部屋につくと、私はぽすっとベッドの上に座らせられる。
 カーテンの開いた窓からうっすらとした夕焼けが注がれて、胸の不安と恥ずかしさを煽る。

「ドレス……私の不注意で破けてしまって……ごめんなさい」

「ドレスはまた買えばいい。そんなことは気にしなくていいよ。ほら、見せてごらん」

「……んっ」

 誠さんは無言で私の靴を脱がし、脚にゆっくりと手を這わせた。じっと見つめられていて、胸がばくばくと高鳴る。恥ずかしい。
 長い指が脚の付け根まで上がり、首から肩、腕へと流れる。誠さんの体温と手の感触がくすぐったい、首筋から腰にかけて、ぞわぞわと這い上がるような痺れに思わず変な声がでそうになってしまう。
 結婚指輪の輝る指先まで辿り着くと、誠さんが心底ほっとしたように息を吐く。

「よかった。傷はないみたいだね」

「あ、ありがとうござ……んっ」

 お礼が最後まで言えなかったのは、私の指先から顔を上げた誠さんに唇を塞がれたからだ。突然のことに驚きながら、抵抗できない。触れるだけだったそれは、角度を変えて次第に深くなる。ただぎゅっと目を瞑ってそれを受け入れていると、いつのまにかベッドに押し倒される体勢になっていた。頬を包む誠さんの熱い指。お揃いの指輪のひんやりとした感触が際立つ。
 慣れないキスにだんだん息苦しくなって誠さんの胸を押した。