「くそ!女性陣に言われたら何も言い返せない!じゃあ志摩、お前はどうだ?ん?」

「俺に聞いても面白くないでしょ。どうしてもってーなら妻の料理の最近のレパートリーでも話しましょうか?」

「クソつまらん!次、真田」

「相変わらず教授が日々論文書け書けうるさいせいで彼女作る暇ないんですけど」

「くそ!墓穴掘っちまった、でもほんと論文書けよ真田〜!はい次、吉野!」

げ、とは声に出さず、まあいつもの流れなので一口ビールを飲んでから唇を尖らせて答える。

「まったく教授は喧嘩売ってんですか、いつも通り居ませんよ」

「先生美人なんだけどな〜、そのうち俺の息子とか紹介したいくらいよ本当」

「教授の息子中学生でしょうが…」

突っ込みながら頬杖をつく。
皮膚科に入局したのはもう6年前、26歳の時だ。最後に彼氏がいたのは研修医までだったから、もう6年以上彼氏がいないことになる。

「さすがに私だって彼氏が欲しい!!!結婚したいし!」

そのままの勢いでグビグビとビールを飲み、ドンっと机に置く。

「さあ、教授!いまこそその全国に及ぶ無駄に広い人脈を私の為に使う時が来ましたよ!?私に誰か紹介して下さい!」

「無駄ってなんだよ、無駄って。教授ってーのは人脈で成り立ってるもんなんだよ、ったく。でもまぁ、珍しいな、吉野がそんなふうに言うなんて。まあ、確かに何人か見繕えそうではあるが…」

さて誰にするか、と顎をさするイケオジ朝比奈教授を拝むように見ていると、横から明里ちゃんが強烈な一撃をぶっ込んできた。