「呂律回ってねぇぞ。酔ってんじゃねえか」
幸せすぎて頭がふわふわする。
どうしよう……。今すぐ抱きしめて欲しい。
その心地の良い声で雪音って呼んで欲しい。
酔いが回っている私は、そんな欲求のままに行動していた。
「……っ!おい、何をする」
「くっついてるんですぅ」
抱きしめてくれないなら、こちらから行ってしまえと自ら動く。
「……どうなっても知らねぇぞ?」
「ふふっ、はぁー……しあわせ」
「……っんな、可愛い顔すんな……」
ボーッとしていた私には、最後の言葉を聞き取ることはできなかった。
なにかの香水だろうか……。ふんわりと漂う匂いがさらに私をクラクラさせる。
そのせいで、もっとくっつきたいと思う気持ちが抑えられなかった。
私は晃輝の肩にグリグリと自分の顔を押し付ける。
「おいっ、雪音……」
「ん?」
あぁ……どうしよう、雪音って呼んでくれた。
そんなことしか考えられないまま、至近距離で晃輝を見上げてみる。



