ラヴシークレットルーム ~日詠医師の溺愛クリスマスイヴは・・・



「この病院で従事している人で、知らない人はいませんよ。」

「知らない人がいないとは・・・なぜです?」


えっ?
この院内で、私のことを知らない人がいてもおかしくはないけれど
ナオフミさんのことを知らない人なんて多分いないよね?


「おふたりとも、目立ちますから。美男、美女で。」


警備員さんは被っていた制帽を外し、ニッコリと笑いながらそう答えてくれた。
その人は白髪混じりのおそらく初老の人生経験豊富そうなおじさん。

下手なことを言うと、こっちが恥ずかしくなるような冷やかしを交えたお説教が返ってきたりしてドツボに嵌るんじゃ・・と逆にこっちの肩に力が入った。


「そんなこと・・」
『そんなことないです!!!!!』

同じような言葉を口にしたことに驚いた私は
お互いに見合ってしまったせいでつい照れ笑いをした。
ナオフミさんも私に釣られて照れ笑い。

この後、こってりとお説教されるかもしれないのに
照れ笑いしている場合じゃない。


「反応も同じとは、息の合ったステキなご夫婦ですね。」

「まだまだですよ。」
『・・・いえ、と、とんでもない・・・まだまだです。』


また同じようなことを言ってしまったが、
お説教されるに違いないと警戒し、どもってしまった私とは対照的に、また照れくさそうにそう応対したナオフミさん。


あれ?
もしかして焦っているの、私だけ?


「いえ、また息が合ってますし。お似合い夫婦ですね。」

「お似合いですか・・・そう見えます?」


ナオフミさんが警備員さんを警戒するどころか
嬉しそうに見えるのは、多分、私の気のせいじゃない



「そうそう、凄くお似合い♪どうか末永くお幸せに。」

「正直、嬉しいですね。お似合いとか言われると。」


やっぱり気のせいじゃなさそう
ナオフミさんの少年みたいな笑顔、久しぶりに見たし・・・


「それはよかったです。それではこちらへどうぞ。」

「あ~、ハイ。」


完全に警備員さんの手の掌の上で転がされてしまった様子のナオフミさんは私を抱きかかえた格好のまま、警備員さんが誘導する方向へ歩き始めた。


どうやらご機嫌なままの彼は、素直に前を行く警備員さんの後を追っていたけれど、

「なんかコレ、業務用の通路のほうへ向かっている気がする。」

そんな彼の声のトーンが少し落ちたような気がした。


彼のその呟きで振り返った警備員さん。



「あっ、ここは私達警備員の間では、スキルアップハッピールートって言っていて、ここを通った職員は皆、凄くいい仕事ができるようになるっていう言い伝えがあるんです。」