彼がそう囁いた直後。
また溢れてしまった涙が伝う頬に彼が柔らかいキスを落とした。
そして、彼は再び聞こえてきた彼の“ありがとう”に警戒してしまった私を強く抱きしめた。
「これでも、別れる?」
『・・無理。』
抱きしめられ、彼の胸にうずくまっているせいで潰れたような声しかでない。
それをなんとかしたいと顔を上げようとするも私の体を包んでいる腕は更に力を籠められた。
「ずっと探し続けて、やっと見つけた宝物なのに、簡単に手放す理由ないだろ?」
『・・そうなの?』
「しかも、夢を叶えるために俺の手から飛び立ってしまった宝物を、再び掴みに行くぐらい、俺は貪欲なのにな。」
ナオフミさんは
なんでこんなにも私のことをスキでいてくれるんだろう?
なんで
こんなにも私をスキという気持ちにさせてくれるんだろう?
私のこと
いつからスキなの?
そういえば聴いたことなかったよね?
普段はこういうこと
ちょっぴり恥ずかしくて
なかなか聴けないけれど
せっかくこういう甘い空気だもん
聴いてみてもいいかな?
『ねえ、ひとつ、聴いてもいい?』
「ん?いいよ。何?」
私の突然の問いかけが気になったのか
私の体を包み込んだままだった彼の腕の力をようやく緩めてもらえた。
ふう~っと息をついた後、彼の胸にうずくまったままの自分の顔を引き上げて
すぐさま彼を見上げた。
『あのね、ナオフミさんは』
「・・・・・・・」
『いつから私のことを・・・どんな私を・・・』
雲ひとつない青空の下、彼に見下ろされる格好で
自分の瞳の奥をじっと見つめられ、ドキドキしてしまってつい怯んでしまった私に彼は
「スキなのか?ってことだろ?」
逆にそう問いかけてきた。
『う・・うん!!!!!』
だけど、言い出せなかったことを
感じ取ってくれる
そのことで彼と私の距離が近づいてきていることが
実感できる
彼がどれだけ私のことを理解してくれているのか・・も
だけどやっぱり知りたい
いつから私のことを
どんな私を
スキになってくれたのか?
ということを
「知りたい・・のか?」
『う、うん!!!うん!!!そうなの!!!!!』
相変わらず私の瞳の奥を見つめ続ける彼に
ドキドキ
彼がなんて答えてくれるのかにも
ドキドキ
何かを言おうとしてくれているような小さく開いた口にも
ドキドキ
それなのに
「人生、ひとつやふたつぐらい、秘密があったほうが面白いぞ。」



